トランスを選ぶとき、容量や電圧比と並んで意外と見落とされがちなのが電圧変動率です。負荷が変動したときに二次電圧がどれだけ動くかを示す指標で、精密機器や照明用途では特に重要になります。本記事では、高圧・高周波トランスを設計・製造する北川電機(KEC)が、電圧変動率の考え方と設計での抑え方を解説します。

電圧変動率とは

電圧変動率(Voltage Regulation)とは、トランスの一次側電圧を一定に保ったまま、負荷を「無負荷」から「定格負荷(全負荷)」まで変化させたときに、二次側電圧がどれだけ変化するかを表す指標です。次の式で表されます。

電圧変動率(%) = (無負荷時の二次電圧 − 全負荷時の二次電圧) ÷ 全負荷時の二次電圧 × 100

値が小さいほど、負荷が変わっても二次電圧が安定していることを意味します。

なぜ電圧が変動するのか|内部インピーダンスと力率

トランスの巻線には、必ず抵抗成分リアクタンス成分(漏れインダクタンス)があります。負荷電流が流れると、この内部インピーダンスで電圧降下が発生し、二次側の出力電圧が下がります。

  • 抵抗による電圧降下:巻線の銅損(ジュール熱)に対応する成分
  • リアクタンスによる電圧降下:漏れインダクタンスに対応する成分
  • 負荷の力率:遅れ力率(誘導性負荷)ほど電圧変動率は大きくなりやすく、進み力率(容量性負荷)では逆に二次電圧が上昇する場合もある

電圧変動率の計算式

簡易的な目安として、次のような数値例で考えるとイメージしやすくなります。

状態

二次電圧

無負荷時

105.0 V

全負荷時(定格)

100.0 V

この場合、電圧変動率 = (105.0 − 100.0) ÷ 100.0 × 100 = 5.0% となります。

電圧変動率を左右する要因

要因

電圧変動率への影響

巻線抵抗(銅損)

大きいほど電圧降下が増え、変動率が大きくなる

漏れインダクタンス

大きいほどリアクタンス降下が増え、変動率が大きくなる

負荷力率

遅れ力率ほど変動率が大きくなりやすい

巻線構造・結線方式

巻回方法や結線により漏れLの作り込みやすさが変わる

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電圧変動率を小さくする設計

電圧変動率を抑えるには、巻線の低抵抗化(太い導体・短い巻回長)と、漏れインダクタンスを狙った値に作り込む巻線構造設計が鍵になります。北川電機では、用途ごとに求められる電圧安定性と、サイズ・コストとのバランスを見ながら、巻線構成・結線方式を設計しています。

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まとめ

  • 電圧変動率は、無負荷時と全負荷時の二次電圧の変化率。小さいほど電圧が安定したトランス。
  • 巻線抵抗(銅損)と漏れインダクタンスによる内部電圧降下が主因。負荷の力率でも変わる。
  • 低抵抗化・漏れL設計・結線方式の工夫で、用途に合った電圧変動率に作り込める。