高圧のトランスや機器の設計で必ず問われるのが「導体どうしをどれだけ離すか」です。ここで登場するのが空間距離(クリアランス)沿面距離(クリページ)という2つの絶縁距離です。本記事では、高圧トランスを設計・製造する北川電機(KEC)が、この2つの違いと決まり方、高圧絶縁設計のポイントを解説します。

空間距離(クリアランス)とは ── 空気を通る最短距離

空間距離(クリアランス)とは、電位の異なる2つの導体の間を、空気中を最短で結ぶ直線距離のことです。電圧が高くなり、この距離が近すぎると、空気そのものが絶縁を失って火花放電(アーク)が飛びます。空間距離は、この空気の絶縁破壊を防ぐために確保します。空気の絶縁耐力は標高(気圧)でも変わるため、高地で使う機器ではより大きな距離が必要になります。

沿面距離(クリページ)とは ── 絶縁物の表面を這う距離

沿面距離(クリページ)とは、電位の異なる導体の間を、絶縁物の表面に沿って結んだ最短距離のことです。絶縁物の表面には、ほこりや湿気、塩分などが付着し、そこを微小電流が流れると表面が少しずつ炭化して導電路ができてしまうトラッキング現象が起こります。沿面距離は、このトラッキングによる絶縁破壊を防ぐために確保します。表面を這う経路なので、同じ2点間でも空間距離より長くとる必要があるのが普通です。

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絶縁距離は何で決まるか

必要な絶縁距離は、いくつかの条件の組み合わせで安全規格(IEC 60664 等)に最小値が定められています。

決定要因

内容

使用電圧

動作電圧・過渡的な過電圧(サージ)が高いほど大きく

汚損度

使用環境のほこり・湿気の程度。屋外や粉塵環境ほど厳しい

材料のCTI

絶縁物の耐トラッキング性の指標。低いほど沿面距離を長く

標高・気圧

高地ほど空気の絶縁耐力が下がり空間距離を増やす

高圧トランスでの絶縁距離設計

高圧トランスでは、巻線間・巻線とコア間・端子間のすべてで空間距離と沿面距離を成立させる必要があります。距離を大きくとれば安全ですが、そのぶん大型化します。そこで、絶縁バリア(絶縁紙・ボビン・仕切板)で沿面経路を稼ぐ、角部をなくして電界集中を避ける、樹脂封止やコーティングで表面と内部の耐性を上げる、といった設計で小型と安全を両立させます。絶縁距離の不足は、運転中の部分放電や最終的な絶縁破壊に直結するため、設計段階での作り込みが欠かせません。

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北川電機の高圧絶縁設計

北川電機は高圧・高周波トランスを得意とし、使用電圧と環境条件から必要な空間距離・沿面距離を設定し、絶縁構造・封止・コーティングで確実に確保します。部分放電試験や絶縁耐圧試験で検証しながら、コンパクトで信頼性の高い高圧トランスを設計・製造できることが強みです。

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まとめ

  • 空間距離(クリアランス)は空気中の最短距離で、火花放電(アーク)を防ぐ。
  • 沿面距離(クリページ)は絶縁物表面に沿う距離で、トラッキングを防ぐ。通常は空間距離より長くとる。
  • 必要距離は電圧・汚損度・材料のCTI・標高で決まり、安全規格が最小値を規定する。
  • 高圧トランスでは絶縁距離の確保と封止・コーティングが、部分放電・絶縁破壊を防ぐ設計の要。